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断髪ジュブナイル〜読心少女〜


 とき・21世紀になってだいぶ経った頃。

 ところ・私立海部野可深高校(しりつ・うみべのかふか・こうこう)。



「さあ、垂水、どっちを選ぶ?」

とチュウが二枚のカードをひらつかせる。

「うーーん……どっちだろう……」

 飛鳥は首をひねる。どちらのカードをひくか迷う……フリをする。カードの中身はとっくにわかっている。

 わざとジョーカーをひく。

 そして、

「うわっ、やっちゃった!」

と大仰なリアクションをしてみせる。

 そんな飛鳥に仲間たちは爆笑する。チュウが見事にスペードの3をひきあて、飛鳥のビリが決定。

「また私がビリなわけ〜?! 勘弁してよォ〜」

 机に突っ伏す飛鳥に、

「飛鳥はホント、ババ抜き弱いね〜」

 一番最初に抜けた弓枝がひやかす。

「ババ抜きだけじゃなくて、ポーカーもダウトも弱いんだよなあ」

とユッキーも乗っかる。

「次からは一番ドベが罰金ってルールにしようか?」

との鳥居の提案に、

「それいいね」

とチカルンが賛成する。無論冗談である。それをわかった上で、

「そんなことしたら、私、破産しちゃうよ〜! ダメ、絶対ダメ!」

 飛鳥は猛抗議する。

 皆ゲラゲラと笑った。

 今日もイジられまくる飛鳥である。

「冗談だってば」

 チカルンは笑いながら、飛鳥の首に抱きつく。

「飛鳥のリアクションが可愛すぎて、ついつい意地悪言っちゃうんだよね」

「本気であせった〜」

 和気あいあいの6人組、昼休みの心和む一コマである。

 しかし、飛鳥にはチカルンの心の声が聞こえる。

 ――コイツ、天然のイジられキャラのクセに、男子どもには人気あるんだよなあ。マジでムカつく。

と。

「垂水ちゃんはこのグループには必要不可欠な癒し系だからね。マイナスイオン出まくりだよ」

とユッキーは言う。彼の心の中も、飛鳥にはお見通しだ。

 ――垂水、マジで美人だよな〜。めっちゃヤリて〜。犯しまくりて〜。今夜もおかずにしてやるゼ。垂水、知らぬが花だゼ、ククク。

「飛鳥、髪とかしてあげる」

と弓枝はブラシを出して、飛鳥の背中までの髪を梳ってやる。飛鳥はその髪を「親友」に委ねる。

「弓枝ちゃん、ありがとー♪」

「ほんと綺麗な髪だね。羨ましいよ」

 そう言いながら、

 ――チッ、ウゼー髪だな。今時黒髪ロングなんて流行らねーんだよ! とっとと切りやがれ!

と弓枝は心中吐き捨てている。その心の声を飛鳥はちゃんと受信している。いつものことだ。

 ――コイツ、いつになったら髪切るんだろ。カマトトぶって気に入らないね。

と鳥居も心の中で呟いている。

 口では、

「切らずにずっとキープしてて欲しいな〜」

とか親友顔して、のたまってはいるが。これもいつものこと。

 チュウはさっきからずっと、ヌード姿の飛鳥を脳裏に思い浮かべている。彼も通常運転。

 そんな邪意に囲まれて、飛鳥の仮面はニコニコと愛嬌たっぷりに微笑んでいる。マスコットキャラクターとしての役割を果たしつつ。



 垂水飛鳥(たるみ・あすか)十六歳、は他人の心を読むことができる。

 いわゆるエスパーというやつだ。

 この能力に目覚めたのは――正確に言えば、自分が周りの人間と違うと気づいたのは、5歳くらいのときだった。

 周りの人間たちが自分を気味悪がっているのを知り、以来飛鳥はこの能力をひた隠しにしてきた。それが彼女の渡世の術だった。

 もしこの能力が発覚したら、異端視され、迫害され、人間の群れからはじき出される。最悪生命の危険だってあるかも知れない。

 他人の笑顔の裏側にある憎悪、嫉妬、怨念、打算、劣等感、といった悪意を嫌でも受信してしまう。家族とて例外ではない。

 そうした中で生きていくうちに、人間という存在は愚かで醜悪なものだ、というシニシズムが飛鳥の中に芽吹き、育っていった。孤独にも慣れっこだ。

 思春期に入り、美しく成長した自分に異性が向ける獣欲、そして同性が向けるジェラシーの渦に飛鳥は直面した。

 それらの悪意を最小限に抑えるべく、飛鳥は道化を演じ、「普通の人間」を演じ続けている。

 聖人君子と賞賛されていた元生徒会長の真柄(まがら)は、

「垂水君、キミに生徒会の業務を手伝ってもらいたいんだけど、どうかな?」

と打診しつつ、頭の中で飛鳥をおぞましいアブノーマルプレイの具にしていたし、担任の清原(きよはら)先生は、

「垂水、青春時代は大いに悩め。悩みこそお前を成長させるんだ。逃げずに受け止めなさい」

と教えを垂れながら、心の内では、どうやってこの教え子をたらしこんで不倫関係に持ち込めるか、と企てていた。

 飛鳥は自分の美貌が疎ましい。

 女子らは、

 ――ちょっとばっかり可愛いからって、調子に乗ってるんじゃないの。

 ――絶対裏でパパ活とかやってるよ、アイツ。

 ――いなくなってくれないかな〜。

 ――うんとイジめて学校から追放してやろうかしら。

と嫉妬の炎を燃やしている。

 とりわけ、彼女らは飛鳥のストレートロングの黒髪に敵意を向けてくる。

 ――うっとおしそう。

 ――目障り。

 ――切ればいいのに。

 ――あの髪、ザクザクと切れたらきっと気持ちいいだろうなあ。

 ――バリカンで坊主にしてやりたい。

 ――切れ。

 ――切れ!

 ――切れ!!

 ロングヘアとはこうも憎まれるものなのか、と飛鳥は戸惑ったが、それでも長い黒髪を保ち続けている。飛鳥の処世術的には、こういう場合、さっさと短く切ってしまった方が、或いは他の娘みたく染めたり巻いたりした方が、無用のトラブルの種を減らせるとはわかってはいる。髪にさほどの執着もない。でも、ひとつぐらい我を通したっていいではないかと反発めいた心理をおぼえ、そのままにしている。



 こうして、しのいできた一応は平和なJKライフにも、暗雲がたちこめ始めている。

 ――飛鳥。

と彼女の心にアクセスしてくる声。

 ――ハヤテ!

 放課後の渡り廊下、飛鳥は笑顔の仮面を捨て、キッと顔をひきしめる。

 ――ハヤテ、今どこにいるの?

 ――君の学校のすぐそばのカフェ。

 ――今すぐ行くから。待ってて!

 ――今はダメだ。「組織」の連中に見張られている。

 ――そんな……。

 ――下駄箱の中にプレゼントを入れておいた。

 ――プレゼント?

 ――中身はけして人に見られるんじゃないぞ。

 ――うん、わかった。ハヤテ、あなたは大丈夫なの?

 ――何とかまいてやるさ。心配しないで。

 ――また会えるの?

 ――時が来れば、ね。

 ――それはいつ?

 ――僕にもわからない。じゃあ、お互い無事で、ね。バイバイ。

 声は途切れた。

 飛鳥はシリアスな表情のまま、廊下に立ち尽くす。



 ハヤテと出会ったのは、春、桜の季節だった。場所は地元の商店街だった。

 ――あ〜あ、結婚なんてするんじゃなかったわ。子育てもキツいし。浮気でもして、こんな生活から一時でも抜け出したいなあ。

 ――戦争でも起きねえかなあ。そうすりゃ思う存分人をぶっ殺すことができるのに。

 ――ゲッ! 何コイツ、キモッ! 死ね!

 ――Nさんトコの息子、中学受験失敗したらしい。フフフ、いい気味だわ。

 ――ハア、同期はどんどん出世していくのに、俺は……。今日も女房に嫌味言われるんだろうな。俺は優秀な人材なのに、何故誰もわからないんだ! クソがッ!

 さまざまな心の声を聞き流しながら、飛鳥は雑踏を歩いていた。

 冷え切った彼女の心へ、

 ――ねえ、君も僕と同じ種族なんだろう?

と明らかに自分に向けて発信された声に、飛鳥はハッと歩みを止めた。

 ――だ、誰?

 ――あんまりキョロキョロしないで。

 ――どこにいるの?

 ――饅頭屋の入り口。

 教えられた方角を見ると、ラフなジーンズ姿の白皙の青年がいた。飛鳥より二三歳年上のようだった。

 初めて心と心で会話できたことに、飛鳥は激しい感動をおぼえていた。

 恐る恐る思念を飛ばす。

 ――あなたも、なんだね?

 ――そうだよ。

 ――どうして、私のこと見抜いたの?

 ――同族に対する「勘」としか言いようがないな。

 ――「勘」ねえ……。

 ――あんまりこっちを見ないで。怪しまれる。

 ――うん、わかった。

 飛鳥の胸は高鳴った。今まで一人ぼっちだった暗闇の人生に、サッと一条の光が射しこんだのだ。

 ――大事な話があるんだ。

 青年はテレパシーを飛ばしてくる。

 ――大事な話?

 ――君の生命に関わることだ。

 飛鳥はギョッとなった。一瞬で身体の筋肉が硬直する。

 ――僕のこと、警戒しているね? 安心して、風俗なんかに売り飛ばしたりしないから。

 生まれて初めて心を読まれた。ひどく新鮮な経験だった。

 ――僕は君の味方だ。信じて欲しい。

 ――う、うん……。信じるよ。

 ――僕はハヤテ。君は?

 ――飛鳥。

 ――飛鳥、場所を変えよう。



 ハヤテの「プレゼント」は彼の言った通り、下駄箱の中にあった。緑の包装紙にラッピングされていた。

「おお〜、垂水ちゃん、何ソレ何ソレ!」

 ユッキーが覗き込んでくる。

「い、いや、あれ? 何だろうね?」

 飛鳥はとっさに道化に戻り、トボけた。

「もしかしてプレゼント?!」

「やるじゃん、飛鳥!」

「さすが海部野可深高校一のモテ女!」

 からかい半分でハシャぐ親友たちだが、心は裏腹、

 ――なんでコイツばっかり――。

 ――あんまりつけあがらせると厄介だな。

 ――そろそろお仕置きが必要かもね。

「中身は何なの?」

「見たい! 見たい!」

「い、いや、恥ずい恥ずい! わ、私、塾に遅れちゃうから。ゴメンね〜」

と飛鳥はプレゼントを抱え、ダッシュで家路についた。

 一人暮らしのマンションに戻る。

 包装紙を剥す。

 その中身は――小型のピストルだった。

 飛鳥は慄然とした。身体中を悪寒が駆け巡った。

 ――これで自分の身を守れっていうこと?!

 添えられたメッセージカードを見る。

 You play with the cards you're dealt(君は配られた手札で勝負するしかない)

とボールペンで走り書きされていた。

 すでに状況はのっぴきならないところまで来ているようだ。

 ――私の持っているカードは――

 心を読む能力と、ルックスと、小学校の頃習っていた空手と、そして、このピストルと、と飛鳥は指折って数えて、

 ――こんなんで「組織」に立ち向かえるわけないよ〜。

 頭を抱える。



 「組織」の存在を知ったのは、ハヤテと出会った日だった。

 人気のない公園だった。別々のベンチに離れて座り、別々の方向を見ながら、テレパシーで会話する。

 ――「組織」」は日本中の超能力者を捕らえて、研究材料にして、いずれは軍事目的に利用するつもりでいるんだ。

 ――それを拒んだら?

 ――消される。

 ――わ、私、研究材料なんかにされたくないし、生命を奪われたくもないよ。

 ――君が望もうと望むまいと、奴らはやがてはこの街にも来る。

 ――どうしたらいいの?

 飛鳥は途方に暮れて訊ねる。

 ――自分の身は自分で守るしかない。警察や政治家、学校――大人たちは何もできない。

 ――怖い……。

 ――もう戦いは始まっているんだ。逃れる術はない。僕は君に警告するために来た。仲間の危機を見て見ぬふりはできないからね。

 ――仲間……。

 その甘美な響きは飛鳥の胸を温もらせた。飛鳥にとって初めて演技をしなくてもいい人間が、突然現れたのだ。



「仲間、かぁ……」

 飛鳥はピストルを不器用に握りながら、独り言ちる。

 あれからハヤテとは何度か会って、テレパシーで会話した。すでに「組織」に狙われている彼とは、自己防衛上、半径5m以内の距離になったことがない。それでも飛鳥にとって地上で唯一の仲間だ。

 ――他にも僕や君のように超能力を持つ人たちは、実は日本だけでも大勢いる。

とハヤテは言っていた。

 ――僕は彼らを糾合して「組織」に立ち向かおうと考えている。だから日本中を旅して回って、彼らに決起と結束を促している。三本の矢の教訓じゃないが、皆で力を合わせれば状況は必ず変わる。それまでは何としてでも生き延びるんだ。希望はある!

 ハヤテはそう言って励ましてくれた。

 同時に、

 ――エスパーの中には「組織」に魂を売り、飼い慣らされている連中もいる。そいつらは刺客となって、君の前に現れるだろう。超能力者だからといって、くれぐれも気を許さないようにして。

と注意することも忘れなかった。

 ――エスパー同士で戦うのか……。

 飛鳥はヘビーな気分に襲われる。「同士討ち」は避けられるものなら避けたい。



 翌日も飛鳥は電車に揺られ、学校へ行く。

 鞄の中にはハヤテからの「プレゼント」を忍ばせている。できれば一生使いたくない。明らかに法律違反だし。

 車窓から過ぎゆく田園風景を眺めるともなく眺める。

 車中では、いつものように何十人もの人間の心中の声が聞こえてくる。大半は学校や職場に行きたくないといった内容だ。

 ネガティブな思考群を聞き流していたら、

 ――あの小娘がターゲットか。

 ――消しちまうには惜しい美人だな。なんとか「組織」に忠誠を誓わせるよう説得できないもんかな。そうして、ぐふふふ――

と背後から男二人の心の声。

 飛鳥の顔はこわばる。背筋が凍りつく。ついにヒットマンが現れた!

 「組織」の中でも下っ端の実行者たちなのだろう。そう飛鳥は推測した。飛鳥の詳しい情報――読心能力を知っていれば、こんな無防備に心の内をダダ漏れさせているわけがない。

 ヒットマンたちの顔を確認したかったが、うかつなことをして相手に気づかれてはお終いだ。

 わざとリップクリームを落とす。

 それを拾う動作をしつつ、「敵」の顔を盗み見る。スーツを着た一見サラリーマン風の男たちだ。大男と小男のペア。両人とも人殺しなど何とも思っていなさそうな酷薄な顔をしている。

 逃げなきゃ、と飛鳥は心を決めた。

 列車が途中駅のホームに滑り込んだ。

 電車の扉が閉まる瞬間――

 飛鳥はダッシュ、ホームに飛び降りた。

 ――逃げたぞ!

 ――チッ! 気づかれたか! やっぱりあの娘、正真正銘のエスパーだ!

 車内に取り残され、刺客たちは狼狽している。

 飛鳥は走った。ホームを疾走し、階段を駆け上り、改札を抜け出た。

「フゥ、危なかった」

と安堵したのも束の間、

「ウソ……」

 飛鳥は腰を抜かしそうになる。あの二人が目の前に立ちふさがっていたのだ。どうやら彼らも超能力の持ち主らしい。

 ――こりゃあ説得は難しいな。殺すしかない。

 ――こっちには瞬間移動の能力(ちから)があるんだ。逃がしはしないぞ。

 殺気を放ちながら歩み寄ってくる刺客たち。余裕の表情だ。手には拳銃。こうやって、何人もの善良なエスパーを殺めてきたのだろう。

 飛鳥はよろめくように逃げ出した。

 狭い裏路地を逃げ回る。

 が、刺客たちは先回りして、飛鳥の行く手を阻む。  

 ――テレポートか……。

 殺そうと思えば、すぐに殺せるのに、どうやら、飛鳥をなぶるつもりのようだ。

 無駄だと知りながらも、飛鳥はあがく。走る。懸命に走る。走る!

 しかし、――

 とうとう袋小路に追い詰められた。

 鞄の中のピストルのことを思い出すが、手が震えて取り出せない。

「お遊びはここまでだ」

「悪く思うなよ」

 二人の肉声を初めて聞いた。

 二つの銃口が飛鳥に向けられる。絶体絶命だ。

 と、次の瞬間――

 バッ!

とひとつの影が宙を舞った。

「さあ、踊ろうよッ!」

 バキイッ!

「グワッ!」

 大男の方が地面に倒れ伏した。ほんの刹那の出来事だった。大男は気絶してのびている。

「斜谷さん!」

 同級生だった。斜谷十和子(はすたに・とわこ)。彼女が大男を蹴り倒したらしい。凄腕の拳法使いという噂は耳にしていたが、成程、相当な強さだ。

「ナニこのスパイ映画みたいな状況。参加するっきゃないね」

と十和子は不敵な笑みを浮かべる。

「邪魔するなッ!」

 小男のヒットマンが我に返って怒鳴るが、十和子は涼しい表情(かお)で、

「同級生のピンチを見過ごすわけにはいかないね」

「お前にも消えてもらおう」

 十和子に拳銃を向ける小男だが、

「ロ分!」

 十和子の長い三つ編みが生き物のように動き、小男の首に巻きつく。

 テレポート能力を使う間もなく、

「ロ合威也―ッ!」

 まるでハンマー投げのようにブン回される小男。

「うわああああ!!」

「す、すごい……」

 飛鳥も十和子の秘技に言葉を失っている。

 小男は口から泡をふいて失神した。その身体を、どうっ、と地に投げ捨て、

「大丈夫だった?」

「あ……う……うん……」

 怒涛の展開に呆然としていた飛鳥だったが、

「あ……ありがとう」

 ようやくお礼の言葉を搾り出した。

「同級生が変なおじさんたちにピストルで撃たれそうになってるのに、ほっとくわけにもイカンでしょう。面白そうだし」

 十和子はニカッと白い歯を見せて笑う。

 十和子の心の声が聞こえてくる。

 ――同級生が変なおじさんたちにピストルで撃たれそうになってるのに、ほっとくわけにもイカンでしょう。面白そうだし。

 飛鳥は密かに驚く。言葉と心が一致している。基本裏表のない人らしい。単純とも言えるが。

「コイツら誰?」

 十和子は倒れている男たちを見下ろす。

「かなりヤバそうな連中みたいだけど。アンタの知っている人?」

「いや、全然知らない人」

 飛鳥は半分嘘をついた。面識は全くない。名前も知らない。それは本当だけど、「組織」のことは伏せた。もし、「組織」のことを話せば、自分がエスパー、つまり異端者であることも明かさねばならないから。

「ふーん」

 十和子はさぐるような眼で、飛鳥を見た。

 が、

 ――まあ、知らないと言ってるんだから、知らないんだろうな。

とあっさり納得していた。

「ケーサツ呼ぶ?」

「いや、やめとく」

「いいの? それでいいなら、アタシも助かるけど。こっちも脛に傷持つ身だからね」

 十和子の脳裏には、武闘派の不良どもとドカドカバキバキ、ストリートファイトしている日常が浮かんでいる。

「さあ、学校行こっ」

 完全に遅刻だけど、と十和子は破顔(わら)った。

 こんな人もいるんだ、と今まで悪意の荒波の中、呑まれそうになってきた飛鳥は凪を感じた。優しい気持ちになる。

 そうだ、とある考えが浮上した。

 ――うまいこと言って、この娘に味方になってもらえたら……

 強力な「手札」になる。

 だけど、

 ――やめておこう。

 飛鳥は自分の打算を振り払った。この少女まで巻き込むわけにはいかない。

 ――私も案外不器用にできてるんだな。

 思わず苦笑がこぼれる。



 ことはおきた。

 体育館裏、女子たちは群れをなして、飛鳥を取り囲んでいた。その眼には激しい憎しみが燃え盛っていた。

 ――コイツ、許せない! 許せない! 許せない!

 ――ひどい目に合わせてやる! ひどい目に合わせてやる!

 ――抹殺! 抹殺! 抹殺! 抹殺!

 どの顔も完全に理性を失っていた。

「ま、待ってっ! ど、どうしたの、皆?! やめて! やめてよッ! 離してッ!」

 飛鳥は抵抗するが、多勢に無勢、忽ち捕らえられ、吊し上げられる。

 どういうことなの?!と飛鳥は困惑する。確かに多くの女子から嫉妬を買っているのは知っている。しかし、彼女らが一致団結して、直接行動を起こすとは思ってもみなかった。

 彼女たちの心の声も、まるっきり正常な人間のものではない。まるで何者かに操られているかのようだ。

 ――まさか!

 飛鳥はハッと気づいた。

 「組織」に洗脳されたのではないか。きっとそうに違いない。これだけの人数を操るなんて、すさまじい超能力の持ち主が学校内に入り込んでいることになる。

 そこまで推測したとき、

 ――いやいや、私の超能力なんてタカが知れたもんですよ。

 何者かが飛鳥の心にアクセスしてくる。この騒ぎの扇動者だ。

 ――誰なの?!

 ――やだなぁ、私のこと、お忘れですか? 今日だってニュートンのエピソードで盛り上がったじゃないですか。

 ――八田(はった)先生!

 視線を上げると、向かいの非常階段の踊り場から、痩せた白衣の男が飛鳥を見下ろしていた。口元に微笑を溜めている。八田だ。

 八田は最近非常勤講師として、この学校に雇われた物理教師だった。二十代で、話がうまく、授業でも興味深い余談を面白おかしく語ったりして、生徒間では人気があった。

 ――八田先生……貴方、「組織」が送り込んできたエスパーだったの?

 ――まあ、そうです。

 ――酷いじゃない! 何の罪もないこの人たちを操って私を襲わせるなんて!

 ――それは買いかぶりというものです。私の能力なんて大したものじゃないですよ。

 八田が肩をすくめてみせるのが、遠目に見える。

 ――これは彼女たちの意思です。あなただって本当はわかっているんでしょう?

と言われれば、飛鳥も言葉に詰まる。

「……」

 ――彼女たちがあなたに対して募らせてきた妬み、嫉み、憎しみ、コンプレックス、そういった悪意の風船が限界まで膨れあがったのを、私は小さな針で突いただけです。つまり、あなたの不徳の致すところなのですよ。

 ――許すまじ、垂水飛鳥!

 ――殺したい、垂水飛鳥!

 ――いなくなれ、垂水飛鳥!

 悪意の洪水に飛鳥は吐き気を催す。

 とうとう飛鳥は、群衆の輪の中に引き据えられた。

 「親友」たち――弓枝、鳥居、チカルンもいる。いる、と言うより、彼女らが率先してこの集団私刑を煽り立てていた。

「飛鳥、いいね〜、その恐怖に歪んだ表情」

「いつもみたいに笑えよ、ほらっ、笑ってみろよ!」

「調子コイてた罰を受けなッ!」

と親友たちは狂気に満ちた眼で、飛鳥を責めたて、小突き、首を絞め、髪の毛を引っ張る。

 チカルンに引っ張り上げられたその髪を

「この髪、ずっとイラついてたんだよね」

と悪鬼のような形相で、鳥居は用務員室からかっぱらってきたとおぼしき植木バサミを持ち出す。

 飛鳥の美しい顔が蒼白となる。

「いいぞ、鳥居! バッサリいっちゃえ!」

「そろそろ夏だし、いいんじゃね」

「ギャハハハ、最高のエコじゃん!」

 女子らの狂騒は最高潮に達し、リンチは凄惨の度合いを増しに増す。

 ――切れ!

 ――切れ!

 ――切れ!

 ――切れ!

 ――切れ!

 悪意はもはや表と裏の境界線もなく、飛鳥に雪崩落ちてくる。

 鳥居は飛鳥の髪に、植木バサミを根元から入れた。

 ザクザク!!

 砂を踏みしめるような音をまき散らし、何束もの髪が切断された。

「いやあああああぁぁ!!」

 飛鳥の叫び声が体育館裏に響き渡る。

「ひ、酷い……酷いよ……うっ……うぅ……」

 飛鳥は地面に突っ伏し、滂沱の涙を流した。

「ああ、胸がスッとした〜」

 鳥居は残忍な笑みを浮かべている。

「こんなもんで済むと思うなよ!」

「泣けば許してもらえるとか考えてたら大間違いだぞ!」

 「祭」はまだまだ終わらない。

 二刀目に取り掛かろうとする鳥居だが、

「鳥居、ずるいぞ!」

「次はアタシの番だよ!」

「そのデカいハサミ貸せや!」

 他の女子どもが息巻く。まさに阿鼻叫喚の地獄絵図だ。

 すったもんだの末、鳥居は渋々弓枝に断髪権を譲った。

「おらっ、立てよ、垂水」

 飛鳥は無理やり抱き起され、ふたたび髪を引っ張り上げられる。

「さあ、飛鳥ちゃん、髪の毛チョキチョキしまちょうね」

 弓枝は薄ら笑い、デモンストレーションみたく植木バサミを宙でシャキシャキと開閉させる。

 そして――

 ザクッ、ザクッ、

と右サイドの髪を引き裂くように、切っていった。さすが元運動部(軟式テニス部)だけある。力強くハサミを動かした。

 ザク、ジャキン!!

 二枚の大きな刃が火花を散らさんばかりにカチ合う。

 バサバサバサッ

とノーマルな人間ならば思わず目を背けるような量の髪が、日陰の湿った土の上に落ちる。

 ――ハヤテ、助けて!

 さっきからずっとテレパシーでハヤテにSOSを呼びかけているが、応答はない。やはりかなり遠いところにいるのだろう。

 ――ハヤテ君は来ないよ。

 八田の思念が割り込んでくる。

 ――今頃「組織」に血祭りにあげられてるよ。

 ――えっ?!

 飛鳥の肩がビクンと波打つ。

 ――彼は弱小エスパーを結集して「組織」を潰そうと目論んでいた。なかなか面白いピエロだったけど、志半ばで逝くとは、さぞや無念だっただろうねえ、クククク。

 飛鳥の目の前は真っ暗になる。唯一の頼みの綱が消えた。初めて理解し合えた「友達」が葬り去られてしまった。

「うっ、うっ……うわあああん!」

 飛鳥は慟哭した。その背中を、

「さっさと立て、このヤロウ!」

と土足で踏みつけられた。

「飛鳥、ハゲできてるよ! 500円ハゲだ!」

 チカルンの指摘に、

「きゃははは、こりゃあボーズにするしか道はないねえ」

「イヒヒヒヒヒヒ、いいね、いいね〜」

 皆爆笑する。

 ――こうやって思う存分辱めた後は、殺す!

 ――イビリ殺す!

 ――なぶり殺しだ!

 群衆は「断髪の次のステージ」に心を移しつつある。「魔女刈り」が終われば、必ず生命を奪われる。「組織」はほとんど手を汚さず――ちょっとした扇動のみで―― 一匹のローカルエスパーを始末できるのだ。

 飛鳥は泣き腫らした眼で、八田を睨みつけた。

 八田はそんな祭壇上の生贄の子羊を小馬鹿にするように、主人に対する執事よろしく仰々しい一礼で応じた。

 凌辱は続けられている。

「次はアタシに切らせろ!」

「いや、アタシだよ! アタシ、コイツに大事な男性(ヒト)を盗られたんだからね」

「それを言うならアタシだって盗られた!」

「アタシだって!」

 盗られた盗られたと言うけれど、勿論飛鳥が略奪愛に走ったはずもなく、彼女らがそれぞれ好きだった男子が、勝手に美しい飛鳥に心を移しただけだ。飛鳥に罪はない。しかし、狂騒の中、そういう理知は全く作用しない。

 飛鳥は人間に失望した。未来に絶望した。その両眼からは光が失われた。

 チカルンが植木バサミを奪取して、飛鳥の傍らに立つ。

「おい、チカルン、ここ切りなよ」

と鳥居がトップの髪を引っ張り上げた。

 飛鳥はもう抵抗をやめ、なすがままに任せている。

 二つのバカデカい刃がトップの髪にまたがる。

「くうぅ〜、たまんないや」

 チカルンは心の底から歓喜している。髪を切る感触を楽しむように、ゆっくりと植木バサミを閉じた。

 ザッザッザ、ザク――

 ジャキン!

 ――最っ高〜!!

 チカルンの心の叫びが聞こえる。

 切り髪はバサバサと地面へ。三回だけのカットで山と散っている。

 トップの髪は根こそぎ断たれ、さながら河童のよう。

「まだまだ切れる!」

 女子の群れから声が飛ぶ。

 ――このままじゃアタシが切る髪がなくなっちゃうじゃんか!

と皆ジリジリしている。

 飛鳥は虚ろな視線を宙に漂わせている。

 アタシが、アタシが、と女子たちは小競り合いをはじめる。

 次の刹那――

 女子の群れが絶叫するのが聞こえた。数十人が一瞬でバタバタとなぎ倒された。全員気を失っている。

「これ……は?」

 飛鳥は何が起きたのかわからず、呆然としている。

「大丈夫か!」

 180cmはある大柄な青年が立っていた。他校の制服を着ていた。飛鳥と同じ年頃らしい。

「あ、貴方は誰?」

「君の仲間だよ」

 青年は力強く言った。

「仲……間」

 飛鳥の眼にふたたび光が宿った。

「俺は中元(なかもと)、君と同じ種族だ。ハヤテさんの檄で立ちあがったんだ。『組織』と戦う為にね」

「ハヤテの?」

 中元はうなずき、予想外のなりゆきにアタフタしている八田を振り仰ぎ、グッと睨んだ。

「この裏切り者!」

と中元が一喝するや、

「うわああっ!」

 八田の身体は浮き上がり、転落、コンクリートに叩きつけられた。

 中元は強力なサイコキネシスの持ち主らしい。

「き、救急車を、救急車を呼んでくれえ!」

 八田は情けない声で喚き散らす。

 ――飛鳥……

 微かな声が聞こえた。

 飛鳥は神託を聞いたように両眼を見開いた。この声が誰の声なのかだなんて、絶対間違うものか!

 ――ハヤテ……生きていたんだね!

 ――ああ……。

 ――大丈夫?

 ――正直言うと、あんまり大丈夫じゃない。

 ややおどけたトーンに、

 ――私もだよ。

 飛鳥の口元はほんのちょっとほころぶ。

 ――中元君が間に合ったみたいだね。

 ――彼も仲間なんだね。

 ――僕が蒔き続けてきた種が、段々とツボミになりはじめている。日本中のあちこちで心あるエスパーたちが孤独じゃないことに気づき、覚醒して、立ち上がっている。これで「組織」もおしまいさ。僕たちを舐めすぎた報いだ。

 そう言って、ハヤテは低く呻いた。

 ――ハヤテ、苦しいの? 「組織」にやられたの?

 ――まあね。もう会うこともないだろう……。

 ハヤテの声は徐々に遠くなっていく。彼の肉体が滅びていくのがわかる。

 ――そんなのイヤだよッ! ”時が来れば会える”って言ったじゃん。ハヤテの嘘つき!

 ――ごめん……。

 ――お願い! いなくならないで! ハヤテは私の最初の友達なんだよッ!

 ――そう言ってくれて嬉しいよ……。

 ――ハヤテ、死なないでッ!

 ――心残りが三つある……。

 ――三つ?

 ――ひとつは君の肉声を聞けなかったこと……。いつもテレパシーで話していたからね……。

 ――私だって貴方の声、聞きたいよ!

 ――二つ目の心残りは君と半径5m以内の距離になれなかったこと……。

 ――「組織」が消え去って平安が訪れたら、いくらでもそばにいられるよッ! いっぱい話そ!

 ――三つ目は君の美しい髪に触れられなかったこと……。

 飛鳥の胸は痛む。

 ――もう、髪、ないの……。

 ――「組織」にやられたのかい?

 ――うん……。

 ――酷いことを……。

 ――また伸ばすよ! 伸ばすから、だから、ハヤテ、どうか貴方も諦めないで!

 ――飛鳥……絶対に生き延びるんだよ……。絶対に、だよ……。そして――

 ハヤテの声は途切れた。

 飛鳥は涙を拭いた。屹と顔をあげた。

 拳銃を所持した男たちが7人、ドカドカと押し寄せてくる。「組織」もなりふり構わってはいられないようだ。

 ――映画みたいだな。でも、映画じゃないんだよな。

と中元が心中呟いているのが聞こえる。

 飛鳥はとっさに潰された鞄の中から、ハヤテがくれたピストルを引き抜いた。

「ここは俺が食い止める。君は逃げろ」

「私も一緒に戦う!」

「ダメだ! 君の能力はこういった戦闘には不向きだ。今は逃げてくれ! 逃げ延びて、他の多くのエスパーたちと”本当の平和”を築きあげてくれ!」

「本当の……平和……」

「頼む!」

「わかった! ありがとう、中元さん」

「皆でクソみてーな『組織』、ぶっ潰そうぜ」

 中元は白い歯を剥いて破顔した。

 その笑顔を胸に焼きつけて、

「うんっ!」

 飛鳥は駈け出した。散切り髪を振り乱して。

 背後で銃声が響いた。

 ――死ぬもんか! 死ぬもんか!

 無我夢中で走った。

 ――逃げ足の早い娘だ。

 ――校舎内に逃げ込まれたら面倒だな。早いトコ殺っちまおう。

 背後から暗殺者どもの心の声。三人だ。

 飛鳥はトリガーを引き、振り向きざまピストルをぶっ放した。

 パアアァン!

 暗殺者どもは狼狽して、物陰に身を隠した。

 ――あのガキ!

 ――ハジキを持ってるなんて聞いてないぞ!

 暗殺者が動揺している隙に、飛鳥は校舎に飛び込んだ。

 人の姿のない第三棟――校舎の廊下を駆け抜ける。

 ――死ぬもんか! 死ぬもんか! 生き延びる! 生き延てやる!

 暗殺者の靴音が聞こえる。

 ――アマっ子、悪いがこっちも場数を踏んでんだよ。

 ――絶対仕留めてやるからな!

 ――仕方ねえ、目撃したヤツもあの世に送るしかない。

 ――殺す!

 ――殺す!

 ――ころす!

 ――コロス!

 振り返らずとも、殺気に満ちた思念が追いかけてくるのがわかる。

 階段を駆け上る。

 二階――

 三階――

 パアアァァン! パアアァァン!

 背後から放たれた二つの銃弾が、飛鳥の肩と脾腹を貫いた。

 ――あっ!

 飛鳥はよろめいた。

 ――トドメだ!

 暗殺者たちがほくそ笑んでいる。

 だが、

 ――ぐわっ!

 ――ぎゃっ!

 ――がはっ!

 暗殺者らの身体が重力に逆らって、壁に叩きつけられた。中元はまだ奮戦しているようだ。

 グニャリと倒れ込む三人を一瞥し、飛鳥はよろよろと屋上へと続く階段を昇り続ける。

 傷口から、ポタリ、ポタリと血が滴り落ちる。

 それでも、飛鳥は歩みを止めない。

 ――ハヤテ、私は死なないよ……。死ぬもんか……。生きる……。生き延びるんだ! も、もうすぐ……私と同じエスパーたちが……仲間たちが集まってきてくれる。わ、私は……ひ、一人じゃない……。皆で力を合わせて……ほ、”本当の平和”を創るんだ……。エスパーも普通の人もお互い認め合って、一緒に楽しく笑って暮らす、そんな、へ、平和を……。だ、だからハヤテ、私はまだ貴方のところには、い、行けないよ……。生き延びる……。生き延びるんだ……

 夕陽が差し込んでくる。飛鳥の顔を、散切り髪を、赤く染める。

 飛鳥は一歩、また一歩、と階段を昇っていく。血の滴を点々と残しながら。

 自分でも何故だかわからない。

 でも、屋上で誰かが待っているような気がした。



(了)



    あとがき

 ジュブナイルシリーズ第7弾はエスパーです。他人の心が読める少女という設定で、「白河ことり(ダ・カーポ)系」(ほのぼの学園モノ)でいくか「火田七瀬(七瀬ふたたび)系」(シリアス超能力バトル)でいくか迷って、両者の折衷でと決めたんですが、「七瀬」成分が圧倒的に多くなってしまった(汗) ほんと人の心が読める能力ってしんどそう。それで、ジュブナイルらしからぬダークなお話になっちゃったんですね。ラストもヒロインの生死が曖昧になってるし。。
 結構辛く忙しい日々が続いていて、小説書けないでいたのですが、子供の頃から書くことで自分を保ってきたので、睡眠時間を少し削って、チョコチョコ書きすすめました。……ってこんな無駄に切実なスタンスで断髪小説書いてるヤバいヤツって他にいるのか?!
 読み返してみて、時系列が分かりづらい、とか、ハヤテの非モテっぷりが泣ける、とか、断髪描写がイマイチ(これはいつものこと)、とか、いらないシーン多くないか(これも迫水あるある)、とか粗はいくらでも出てきたんですが、気づかないふりをして、自分に嘘をついて、社会に唾を吐いて、刹那的な恋に身を任せ、コインに明日を託し、調子っぱずれのブルースを口ずさみながら、アスファルトを蹴飛ばして、今回発表の運びと相成りましたm(_ _)m
 こんなの断髪ジュブナイルじゃない!とお怒りの方、もしいらっしゃったらば、大丈夫です! 安心してください! 生きてますよ! このシリーズでヒロインを殺すようなことはございません! たぶん……。
……と歯切れが悪いですが、どうか今後とも懲役七○○年をよろしくお願いいたしますね!
 最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました(*^^*)



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