作品集に戻る



ろるべと


    長編「ろるべと」のための、ちょっと長いあとがき

 どうも迫水です!
 かの名将徳川家康は言いました。
 「過ぎたるはなお及ばざるが如し」。
 やりすぎちゃったかな〜、と脱稿直前になって、ものすっごく心配になった、この「ろるべと」。「夜会の果てに」に続く地獄のG学院「今時のヘンな尼さん候補生たち」ストーリーの第二弾です。そう、誰も望んでいない、一番立ち位置が微妙なシリーズ。
 断髪小説ファンの皆様からは「断髪シーンがない」、尼僧ファンの皆様からは「もっと清らかな尼さんを」、普通の小説目当てで遊びに来てくださる方には「尼さんはちょっと・・・」と総スカン確実のシリーズですよ。本当に自分だけが面白くて書いてる作品です(^^;


ジャンルについて


 え〜、このシリーズの根幹を揺さぶる発言をさせていただくと、実は尼さん自体にはあまり興味がありません。
 し〜ん。
 いえっ、あの、ですね、尼さんの剃髪に興味があってですね、剃髪前、剃髪中を想像して尼さんに萌えてるわけで、剃髪後は、あまり・・・って言うか、むしろ剃髪スッピンの尼さんのラブラブとかを書いていて、たまに、
コレどうなんだろ・・・
と「一般人」になる時があります。
 この「マニア」と「一般人」の間で絶えず揺れている迫水野亜の心の弱さが、このシリーズのアキレス腱でしょう。


動機について


 もともと「例の4人組がバンド結成」というプロットしかなく、ひたすら肉付け作業をしていった感じです。
バンドブームをなにげに体験しているせいか、私は「女の子キャラにバンド組ませたい病」という難病を抱えており、今回のストーリーはその病気が発症してしまいました。
 普通、この手のネタは読者の間に登場人物のキャラが浸透し、作品内の人間関係が安定した五、六回目あたりに、「ちょっと遊んでみました〜」「サービスしました〜」的にやるのが賢明なように思えるのですが、このシリーズが今後、続行される(したいのですが)保障もなく、じゃあ、やれるうちにやりたいことをやっとこうという刹那的なノリで書きました。


タイトルについて

 タイトルの「ろるべと」というのは、サブタイトルの「ROLL OVER BEETHOVEN」(古いロックの曲)からつけました。
 軟派漫画によくある、ひらがな四文字のタイトル、一度つけてみたかったので。


キャラクターについて


 今後の課題は(今後があるとしたら)ズバリ安井沙耶香嬢ですね。他の三人は(特に鈴宮ハルカ)は面白いほど動いてくれるんですが、沙耶香チャンだけは、なかなかスムーズに動いて(しゃべって)くれないです。キャラがいまひとつ確立できていないのです。いわゆる「ツンデレ」路線でいこうかな〜、と漠然と考えてたら、今回、ハルカがかなりツンデレ指数をupさせちゃって・・・。
 それにしても鈴宮ハルカ・・・。キワモノくささ全開のネーミングです。どうせ一回きり、と遊びで某ゲームのキャラの名前を使ったら、まさかこんなことになるとは・・・。ちゃんと考えておくべきだった・・・(― ―;)
 勢いで言っちゃえば、安井沙耶香と安達小夜子、名字の「安」と「さやか」「さよこ」って響きがバッティングしている。


文体について


 文体は「涼宮ハルヒ」をちょっと意識しています。と言っても「涼宮ハルヒ」は読んだことがありません(^^;)
 こないだまで放映していたアニメと、ネットで見つけたパロディ小説を参考にしています。
 センテンスを幾つも連結させて、文章を構成していく手法は、自分が尊敬する司馬遼太郎先生がかたく戒めていたもので、ずっと気をつけていました。
が、センテンスフェチの自分としては、「ハルヒ」におけるキョンのセンテンス積み重ねまくりの語りの魅力に抗らいがたいものを感じていました。
 ただこの手法も、気持ちよさにまかせてズルズル使い続けても、ダメだと思うので、注意しないと・・・。


ふたたびキャラクターについて


 「フェルチェ」を書いていて発見したのですが、どうも自分の作るキャラクターにはパターンがあって、女性キャラだと「太陽」「姫」「ヨゴレ」、たまに「闇」の三〜四枚の手札を用意して、作劇する傾向にあるようです。(ちなみに「フェルチェ」では「姫」→フェルチェ、「太陽」→汲流、「ヨゴレ」→榊先輩、です)
 来栖七海はまぎれもなく「太陽」です。明るくて、天然ボケで、優しさと善意の人。こういったキャラは匙加減を間違えると、嫌味な感じになりがちです。
 しかも小説が彼氏の高島田一成視点なんで、シニカルに突き放せず、男の自分勝手な理想に陥ってしまう恐れが大です。だから、かなり気を使います。
 今回は「キレるとコワイ」「腕っぷしが強い」という設定を加えて、キャラの増強をはかっています。
 ハルカは言うまでもなく「ヨゴレ」。作者によって損な役回りを押し付けられっぱなしです。作り手にとっては、非常に重宝なキャラです。
 安達小夜子は「闇」ですね。
 遊軍的ポジション、「秘密兵器」です。だから、あえて彼女の過去や未来は空白のままにしてあります。
 今後、安達サンの「闇」の部分を描くのが、このシリーズでの自分の一番の楽しみでしょうか。
 こう書いてみて、やはり安井沙耶香嬢のキャラクターの曖昧さが気になります。
 彼女の面白さを発掘していく作業が必要ですね〜。「安井沙耶香強化プロジェクト」のため、次回は四人にコミケ進出をさせようか、と思ってます(嘘)。


エンディングについて


 七海と一成のゴールインは、すでに「地獄で恋に落ちた話・外伝〜ネットの仏様」で触れているのですが、唐突だったでしょうか?
 いきなりシリーズ全体の終着駅を呈示してしまって、う〜ん、やっぱどうだろう。
 ちょっと無粋&イキスギな気もしたのですが、どうしても書きたかったんです。
 理由としては、
(1) 今後もこのシリーズが続くかわからないor続いても描くチャンスがないかも知れない。
(2) 弾き語りするハルカを書きたい誘惑に負けた(冒頭の演奏シーンと対にしたかった)。
(3) 「地獄の一丁目」シリーズでフォローできなかった七海の兄のその後を紹介しておきたかった(こだわってるのは自分一人なんでしょうけど・・・)。

 その他、諸々ありますが、理性より直感に従いました。


おわりに


 え〜、ぶっちゃけ、読み返してみて
 やっちゃった
 って感じです。
 途中で気づくべきでした(― ―;
 作品内容にはまったく口を出さない管理人うめろうも、前回の「夜会の果てに」のラスト(男性陣が丸坊主)は納得がいかないらしく、「あれはない」と未だに言われます。今回のダメダメなストーリー展開についても、きっとダメ出しされるのだろう・・・。憂鬱です。


作品集に戻る

inserted by FC2 system