SAKOMIZU NOAアンプラグドNo.3 |
(1) 鏡には出来あがったばかりの坊主頭がうつっている。 ――とうとうやってしまったぜい。 性別不詳になってしまった自分の姿に、大庭史恵(おおば・しえ)はニンマリする。 いかにも海千山千の食えなさそうな尼僧だ。法名「史瑞(しずい)」もこっちの頭の方がしっかりくる。 スッ、と青い頭に手をやる。 ――この頭に慣れるまでにどれくらいかかるやら・・・。 床屋の扉をくぐったときには、七年間一度も鋏を入れなかったし、入れさせなかった黒々としたロングヘアーは、腰に届くほどあった。 早鐘を打つ胸をおさえながら、つとめて平静に、 「剃髪してください、スキンヘッドに」 「ええっ?!」 若い床屋の店主は目を白黒させていた。 何度も、 「本当にいいんですか?」 とおびえるように尋ねてきた。 「いいんです。サッパリと丸めてください」 得度して十年。三十四歳になる今までずっと剃髪を拒んできた。 父住職をはじめとする周囲は、そんな史恵に髪を切らせようと、圧力をかけ続けてきた。 有髪の僧では、宗門の重要な法会に参加するのには、不都合がある。 史恵の継ぐべき寺は由緒ある名刹である。 頭を丸めて、寺格に相応しい上位の僧階に昇って欲しい、と望む者たちと、史恵はこの十年戦い続けてきた。 けして圧力に屈したわけではない。 さるベテランの尼僧がいる。 史恵はずっと彼女に憧れ、母のように慕っていた。 先週、京都でひらかれた女性と仏教を考えるシンポジウムで、史恵は彼女と再会した。 シンポジウムが終わったあと、二人でお茶を飲みながら、四方山話に花を咲かせているうちに、ふと老尼が史恵の髪に触れた。 「痛んでるわね」 「最近手入れを怠りがちで・・・」 と苦笑する史恵に、 「この際だから、丸めてらっしゃいな」 「え?」 史恵は自分でも顔色が変わるのがわかった。 老尼は本気だった。屹とまなじりを決し、 「もう三十も半ばでしょう? そもそも私、有髪の尼さんてどうかと思う。お釈迦様に嫁ぐ女性が髪を伸ばしてるなんて、なんだかみっともないわ。ナンセンスよ」 史恵の心は激しく揺れた。 「庵主様は頭剃るとき、悲しくなかった?」 「そりゃあ悲しかったわよ。お師匠様に“ここに座りなさい”って言われて、バサッとやられたときは、涙が出たわ。でもね、毎日丹念に剃りあげていると、尼僧としての自覚が湧いてくる。手入れも楽だし、剃髪の男僧とも堂々と対等に話せる。尼僧にとって、葵の御紋の印籠みたいなもんよ、坊主頭って」 「・・・・・・」 「私の娘も先月得度したの」 庵主には大学を出たばかりの娘がいた。 「剃髪なんて嫌だ、髪は切りたくない、って散々ゴネてねぇ。でも心を鬼にして――」 檀家の人たちに協力してもらって、嫌がる娘を押さえつけて、剃髪を敢行したという。 「バリカンって便利ね。長い髪も楽々落とせて。娘も今ではシックを買ってきて、自分で頭剃ってるわ。私の目の黒いうちは、もう髪は伸ばさせない」 「そう・・・ですか・・・」 史恵は普段見せない庵主の迫力にたじろいだ。泣きそうな笑顔で、 「アタシ、坊主にしたら似合うかなあ」 「きっと可愛らしい尼さんになるわ」 史恵は自分の頭から、長い髪が刈り落されるさまを想像し、昂奮した。 剃髪して袈裟をまとい尼僧然とした自らの姿を思い浮かべ、うっとりとなった。 そして、完成した青頭を庵主に「可愛くなったわね」と、ツルリと撫でてもらいたい衝動に駆られた。 別れ際、庵主は、 「今度会うときは清々しい坊主頭の史瑞さんになっていて欲しいわ」 と微笑んだ。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 理容師はうってかわって積極的に史恵の髪を、ザクザクと切りはじめた。 ――ショートにもしたことがないのに・・・。 長い髪で隠れていたお多福顔があらわになる。 生まれて初めてバリカンで刈り上げられた瞬間(とき)は、史恵は不覚にも少し股間を濡らした。 散髪してもらいに店に入ってきた檀家の犬養(いぬかい)老人が、断髪中の史恵に、ギョッとなる。 理髪師はすでに落ち着いたもので、 「ああ、今、副住職さんの頭刈ってるから、待ってて」 とせっせとバリカンを走らせている。 史恵は耳たぶを真っ赤にして、懸命に冷静であろうとしている。 その間もバリバリと長い髪が床に落ちていく。 「史恵さん、ようやく決心したんだねえ」 と犬養老人、 「やっぱり坊主頭の尼さんの方が有難みがあるねぇ」 としきりに頷いている。 「犬養さんの御葬儀に間に合うようにと思って」 かろうじての皮肉も、バリカンのモーター音にかき消される。史恵はまたイキそうになる。激しい羞恥に耐える。ああ、こんな姿、みっともない! 早く坊主になってしまいたい! バサリ。左サイドの髪があっさり落とされた。 ゾリゾリとバリカンは後ろにまわる。 Lineが来た。 スマホを出してチェックする。 友人のミクルからだった。 『今、暇?』 返信をかえす。 『暇じゃない』 『どこにいるの?』 『床屋』 『なんで床屋にいるの?』 『頭、坊主に剃ってもらってる』 『今日はエイプリルフールじゃないぞ(笑)』 『本当の本当だよ。後で見せてやる。今夜はアンタん家で坊主記念のホームパーティーだよ』 『えええええ!!!! 考え直しなさい!!!』 『もう遅いよ』 また連絡する、との返事と、一休さんのスタンプを自虐的に送信し、史恵はスマホをおさめた。 その途端、 ――あっ! ポロリ、と一粒涙がこぼれた。史恵はあわてて目尻を指で拭った。 「すぐ伸びますよ」 理髪師はそう言ってなぐさめた。 「もう伸ばすことはないわね」 史恵はさびしく笑った。一生丸坊主で暮らす決心が、いつの間にかついていた。 帰宅したら、ブラシもドライヤーもシャンプーも、ヘアアクセサリーもまとめて処分してしまおうと思った。 頭の真ん中だけ髪が残された。いわゆるモヒカン刈りである。 この辺りの男子中学生は校則により、入学時、一斉に丸刈り頭になるが、長髪から丸刈りになる際、床屋の主人はいたずら心から、少年たちの髪をまず一旦、モヒカンに仕上げる。その癖がつい出てしまったのだろう。 史恵はクスクスと笑い出した。 「男の子は丸刈りが一番!」と地元でもかなり強硬な丸刈り賛成派だった史恵が、因果応報、男の子たちと同じ床屋で同じ頭にされている。 ウィーン、ジョリジョリ。バサッ! バリカンが綺麗に史恵の頭を丸くした。 理髪師が刷毛で、史恵の頭や顔についた細かな髪をはたき落としていく。 そして、床に落ちた髪を掃き集め、 「ホラ、こんなに刈ったんですよ」 とチリトリの中にうず高く積もったそれを史恵に見せ、ためらいもなく、 ザアアァァ! ずっと大事に守り抜いてきた黒髪は、ごみ箱へ。 「あっ! 捨てないでッ!」 と史恵が制止したときには遅かった。切った髪は和紙にでも包んで保存しておこうと決めていたのだ。 「あっ、すいません。ついいつもの癖で」 理髪師はあわてて詫び、ごみ箱のフタを開ける。 「持ち帰られるんですね」 とごみ箱に手を突っ込もうとするのを、 「もう、いいです」 史恵は憮然として言った。 一度ごみ箱に入ってしまった髪を持ち帰る気にはなれなかった。 「すみません」 「ダメだよ、兄ちゃん、女心ってモンがわかってないなァ」 と犬養老人がニヤニヤひやかしたので、史恵は一層みじめな気持ちになった。 頭が熱いタオルで蒸され、シェービングジェルが施され、剃刀があてられる。 ゾリッ、ゾリッ、 理容師の慣れた手つきに、 「さすが職人さんねえ」 史恵は惚れ惚れした。長い髪への未練は薄れていく。 ただ理髪師の妻が、ヒョイと掃除機の中身を、店のごみ箱にドサドサと無造作に捨てたときには、切り落した髪がホコリと混じりあう光景を想像して、少し胸が痛んだ。 青光りする頭が、ゴシゴシとタオルで拭かれ、 「お疲れ様でした」 と理髪師が軽くマッサージしてくれる。 ――とうとうやっちまったぜい。 「可愛い尼さんができた」 犬養老人がハシャぐ。強情だった史恵がようやく剃髪してくれて、胸を撫でおろしているのだろう。 ――可愛いもんか! 史恵は心中吐き捨てた。 髪がなくなってしまうと、自分の大振りな顔が、クッキリと露出してしまう。 今まで随分ロングヘアーで誤魔化してきたのだなぁ、と改めて実感する。同門の男僧 たちも有髪の頃のように、チヤホヤしてはくれないだろう。 とりあえずは、 「サッパリしたわ」 史恵は嬉々として剃りあがった坊主頭を撫で回した。気分爽快だった。 頭が軽く、涼しい。何度入念に洗髪しても、こんな気持ちよさは味わえない。後悔はなかった。 刈布をはずされ、立ち上がる。 袈裟を着てきてよかった。洋服だったら、おそろしく妙チクリンになっていたことだろう。青々とした頭には、法衣がよく似合う。 鏡を振り返る。 ――死ぬまでこの姿・・・。 グッ、とこみあげてくるものがあった。 床屋を出る。残暑。日差しが、まだ弱々しいむき出しの頭皮を刺激する。 とめておいたスクーターに乗って、檀家総代の家を目指す。 (2) 「あら、史恵チャン!」 総代の奥さんは、坊主頭になってひょっこり現れた史恵に目を丸くしている。 史恵は爽やかに笑った。 髪が長かった頃は、 「長い髪うっとうしいでしょう?」 とか、 「史恵チャンが男の子だったら絶対頭剃ってもらうんだけどね」 とか、 「女のお坊さんは執着が強くてダメねえ、髪の毛も切れないんじゃね〜」 とか、さんざ嫌味を言っていた奥さんも、いざ史恵がきれいさっぱり頭を丸めてしまうと、 「辛かったでしょう」 としみじみとしている。 髪については、父の住職とも激しく諍いを繰り返したものだ。 いつだったか、 「そのだらしない髪を切れ! どうしても切れないのならば、俺が切ってやる!」 と鋏を持ち出した父と口論し、 「好きで尼になったわけじゃない! アタシだって女だ! 髪のひとつくらい自由にさせてくれたっていいじゃないのッ!」 と泣いて反駁したものだった。 「お前が男だったら有無を言わさず、押さえつけてバリカンで丸坊主にしたものを・・・」 父は娘のロングヘアーを恨めしそうに見つめていた。 雪解けが始まろうとしていた。 (3) 某寺の若住職・西澄(さいちょう)は、頭を丸めた史恵の訪問に面食らった。 彼と史恵は三年に渡り、断続的に肉体関係を続けてきた。 ふとしたことから、二人は結ばれ、関係ははじまった。史恵31歳、西澄23歳のときである。お互いに若さと性欲を持て余していた。 コソコソと落ち合って、ラブホテルなどで密会を重ねていた。 西澄は八つ年上の史恵の成熟しきった身体に溺れた。 そして、史恵の長い髪を自分の身体に這わせ、ギシギシと身体を動かすたび、乱れる黒髪を愛でていた。 それが、いきなり何の予告もなく剃髪。 史恵は開口一番、 「やっちゃったわ」 とカラカラ笑い、若い西澄を圧倒した。 西澄はすでにド肝を抜かれている。 「やっちゃったか・・・」 と言うのが精一杯だ。 いつか、ベッドの中で、 「髪、剃らないのか?」 と戯れに訊いてみた。史恵が剃髪を迫られているのは、この辺りの寺院関係者ならば知っている。 「剃るもんですか」 史恵はせせら笑った。 「アタシが瀬戸内寂聴みたいな頭になったところ、想像できる? イヤよ、アタシ、ショートカットにもしたことないのよ。剃髪なんて考えただけでも、ゾッとする」 「そうだな」 と西澄も笑い、史恵の髪を指で弄んだ。 その史恵が見事に剃髪して、西澄と対座している。 「尼さんらしくなったでしょう? つい今しがた床屋に行ってやってもらったの」 できあがったばかりの坊主頭が落ち着かず、しきりに頭に手をやって摩っている。 「アンタに感想聞きたくて」 「もう髪伸ばさないのか?」 「もう十分伸ばしたわ。もうたくさん。これからはシャンプーや抜け毛ともオサラバね」 髪と一緒に妄念まで落としてしまったのか、史恵は晴れ晴れとした心地でいた。 そこへ、 「誰か来てるの?」 と室に入ってきた西澄の母で尼僧の妙寿(みょうじゅ)が、目を見開く。 妙寿は、夫である先代の住職が急逝したとき、後継者の西澄がまだ幼かったため、自ら尼僧となって長い期間、寺を守っていた。 史恵も、まだ匂うような色香をたっぷりと残していた妙寿が、潔く頭を剃って、尼僧姿となって史恵の寺に挨拶に来た日のことを、衝撃とともにおぼえている。 つまり妙寿と史恵は尼僧仲間なわけだが、二人は犬猿の仲だった。 息子をたぶらかす史恵を、妙寿は「メギツネ」「色キチ」と陰で罵り、 「いつか尻尾をつかんで、うんと懲らしめてやるわ」 と息巻いているのを、史恵は知っている。 妙寿は初めて見る史恵の新しい姿にたじろいだが、さすがに女ひとりで寺を守り抜いてきただけあって、すぐに平静を取り戻し、意地悪く笑った。 「あら、どこの尼さんかと思ったら、史恵ちゃんだったのね」 史恵は顔を赤らめた。 以前、妙寿に僧侶たちの会合の席で、 「有髪の尼さんは信心が薄いのよ」 と皮肉を言われ、史恵も負けずに、 「殿方に撫でてもらえる髪がないと、女もダメになりますねぇ」 とやり返したことがあった。 そういった無数の軋轢があるだけに、史恵もあわてる。 気を取り直そうと、つい昔からの癖で、襟足をかきあげようとし、かきあげる髪のないことにハッと気づき、さらにうろたえ、ますます顔を赤らめた。 「剃りたてみたいねえ」 妙寿は無遠慮に史恵の頭を、ジロジロ観察する。史恵は消え入りたい思いだった。 「やっぱりこれ見よがしにチャラチャラ長い髪で尼僧面されてもねえ。キチンと剃髪なさっている尼僧さんたちの中には、貴女のことを悪く言う方も大勢いらっしゃってねえ」 「剃った髪はとっておくんでしょ?」 と西澄が気をきかせて、話題を変えるが、 「あの・・・その・・・」 さっきまでの西澄に対する姉のような態度とはうってかわり、史恵はまるで女教師に責められている女子児童みたいに、しどろもどろに、 「あの・・・捨てられちゃいまして・・・」 「当然ね」 妙寿は鼻で笑った。 「あんなもんはゴミです。いいえ、ゴミ以下です。とっておく必要など全くありません。汚らわしい! あんなもんで若い者をたぶらかして、真面目に剃髪してる尼僧らの神経を逆なでしてきて・・・。貴女のお父様も随分困ってらしたわ。今更どういう風の吹き回しでそんな頭になられたかは存じませんけど」 「ハア」 史恵は剃ったばかりの頭を下げっぱなしである。 妙寿は勝ち誇ったかのように、ペチペチと史恵の頭を触った。史恵は汚物を頭上にのせられたような悪寒に震え、屈辱に耐えた。 「私だってねぇ、先代の夫に先立たれて、西澄もまだ小学生で、私が尼になるしかなくなってね、髪おろすときは悲しかったのよ」 妙寿は段々とヒートアップしてきて、 「でも、尼さんなら誰もそうだって、女を捨てる覚悟で頭を丸めたんです。貴女みたいに尼さんのくせに、髪を長く伸ばして男と寝るようなみっともない真似はしなかったわ!」 ペチッ、と史恵の頭が鳴った。 「本当にアタシ、傲慢でした。恥じ入るばかりです」 史恵は平身低頭、かつての仇敵に土下座する形に。 「バリカンで自分の髪がどんどん落とされていって、ようやく尼僧としての自覚がもてたのです」 などと、考え得る限りの反省の弁を並べ立て、逃げるように西澄の寺を辞去した。 (4) 夜。ミクルのマンション。 ミクルはバツイチで、現在一人暮らしをしている。 今夜はヨシノも呼んで、三人で史恵の坊主記念のホームパーティー。 「珍念でぇ〜す」 とおどけながら現れた史恵に、 「うおぉぉ、やっちゃったのォォ?!」 とことさらに大げさに驚いてみせた。 二人とも史恵のロングヘアーへの愛着を知っている。だからこそ、せっかくの友の一大決心に、変に同情してはかえって史恵を傷つけてしまうと、明るいムードを作る。 缶ビールをあけ、 「史恵のクリクリ坊主にカンパ〜イ!」 と賑やかな宴になる。 言いたいことをズケズケと言うヨシノは、ビールをあおりながら、 「史恵、坊主になって大正解だよ! ぶっちゃけアタシ、ずっと思ってたもん、“尼さんならバサッといっちまいな!”って」 「そんなふうに思われてたんだ」 史恵は苦っぽく笑う。ちょっとは、勿体な〜い、とか惜しんで欲しいのが女心だ。 「なんでアタシたちに鋏入れさせてくれなかったのよォ〜」 ミクルが冗談めかして言う。 「ねえねえ、バリカン入ったとき、どんな感じだった?」 「もう、ジョリジョリジョリ〜、ってやられて、アレ? アレ?って思ってる間にモヒカンだよ」 史恵がバリカンで頭を刈る真似をしてみせると、二人は爆笑した。 「中学新入生コースだったんだ〜」 「自分が頭を丸めてみて、やっぱりアタシは丸刈り断固支持派の気持ちを固めたね」 「その頭で言うなら説得力あるわ〜」 パシャッ、とグラスのビールが、頭にはねた。髪を失った頭は敏感にそれを感じた。 「冷たいっ!」 史恵がのけぞって、二人はまた大笑い。 「頭触っていい?」 ミクルはもう我慢できないらしい。 「いいわよ」 カラリと応じる史恵。 「アタシも触らせて〜」 ヨシノも便乗してくる。 ミクルとヨシノは代わる代わる史恵の剃髪頭に手を伸ばし、撫でさする。 親戚の子が丸刈りになるたび、史恵は、 「中学生らしくなったわねえ」 と彼らの頭を撫で回すのが楽しみだったが、今は撫で回される側になっている。 「ああ!」 史恵はちょっと感じてしまった。この先も、会う人会う人、史恵の頭をさわりたがるだろう。 軽い眩暈。 (未完) あとがき 「最悪得度式」「田舎のアリス」と同じくサイト開設以前に、ノートに書きとめていた小説を発掘しました〜。自分一人の楽しみで書いてました(暗っ!)。 ちょっと手を加えたり、整理したりしましたが、80%は原文のままです。 私、小説を書くとき一番気にするのは、ストーリーやキャラクターの「整合性」なんですけど、今回は、そこら辺ゆる〜くして、本作の「熱量」を優先させました。 13~14年前の小説なのですが、現在とほとんど文体が同じでビックリしました(成長してない??)。 それにサイト開設後に書いた小説のネタがわらわらあって、これまたビックリ!(とにかく思いつくまま、一筆入魂の気迫で、自分の「萌え」を詰め込んだので、かなり濃ゆい内容となってます)。 発表小説初の「未完」作品です。オチをつけようと思えばつけられたのですが、なんとなく「これでいいかなぁ」と。。 今回は自分の「原点」を確認できて、とてもありがたかったです♪ 新鮮な気持ちになりました(*^^*) 個人的な試みにお付き合い下さった方々には感謝しかありません。本当にありがとう!!! 寒くなってきたので、皆様、夜は暖かくしてお眠り下さいね(*^^*)(*^^*) |